令和5年5月で、活動を始めて20年目に入りました。
南野川ふれあいの森がずっと日常の森として、あり続けてほしいから、私たちの活動も森の存在と共に続いていってほしいと思うし、続けていく努力はしていこうと思っています。
この森を守り育てていく活動をしていく中で、いつも念頭に置いて続けてきたことの一つが
「持ち込まない、持ち出さない」こと。
南野川ふれあいの森は、おそらく60年くらい前までは薪を取る薪炭林として使われていたのではなとりいかと思われます。根元はとても太い、株立ちのクヌギやコナラが多いことから、想像できます。
いわゆる雑木林として、人の手が入る明るい林、林床植物が多彩でそれゆえに虫などの生き物、きのこも多く、鳥やタヌキなども生息する・・・そんな場所を再び、という思いで森の手入れをしてきました。その大前提が「持ち込まない、持ち出さない」。
違うところの生き物を意図的にここに入れない。(生き物に限らず、空き缶や吸い殻などのゴミはもちろんですが!)そして、この森にあるものを外へ持ち出さない。(例えば倒れた木、切った木、刈った草、落ち葉さえも)この場所には、この場所の命の環があります。何十年、何百年という年月をかけてできた環を人の手で途切れさせることにつながると考えるからです。もちろん意図せず、靴についた種が芽吹いたりすることもあるでしょう。風に乗って、鳥の落とし物としてなども考えられますが、多くの場合はこの場所の命の環の中で、淘汰されて、この林を形作っていくのではないでしょうか。ただし、外来産の生き物は今の日本にその天敵がいないために、力強く繁殖してしまうケースが多く、その場合はあえて持ち出し(駆除)する場合もあります。
4月22日の活動でシラユキゲシを除去する作業をしました。名前の通り楚々とした白い美しい花が咲くのですが、原産は中国東部。この花の美しさから日本に持ち込まれたようですが、とにかく丈夫で、日陰でも地下茎でどんどん増えるそうなのです。ふれあいの森にはおそらく4,5年前に、どなたかが植えられたのでしょう。すぐに持ち込まれたと気づいたのに、植えた人の気持ちを考えて(おそらくこの森によく似合う、花が少ないし、と良かれと思っての行為かと)シラユキゲシについてよく調べもせずに抜く作業を後回しにしてしまったのです。そのうち、台風被害ナラ枯れなどで立ち入り禁止のエリアとなり、今年入ってみたら、とても増えていたという!!大反省!!!今回の作業で、とりあえず地上部は抜きましたが、根っこは残っていそうなので、根気強く除去していかなければいけません。
「持ち出さない」こちらも、毎年悲しい思いをしています。
今まで持ち出されてしまったもの、ヤマユリ、エビネ、シュンラン、キンラン・・・・・カブトムシ、クワガタなど・・・キンランなどのラン科の植物は、そこにある菌類との共生によって生きていて、他のところに植えても枯れてしまいます。ヤマユリは、とても大きな株でここに一つしかなかったものが球根ごと掘り出されてしまったことは本当に残念でした。そもそも、自分の土地でもない所で、ものを勝手に採ったらそれは泥棒です。虫については、子どもたちの人気の的でもあり、採ることでより虫を知ることにもなるので、禁止とはしていません。大人も子どももその生息環境についても考えながら、行ってくれたら嬉しいなと思います。
この場所でこそ、輝く命を大切にしましょう。それが生物多様性につながり、気持ちの良い環境ができていくのだと思います。土や空気、カビや細菌、ミミズやトカゲ、草やササ、クモ、モグラ、虫、樹木、鳥、どれもが影響しあいながら生きていることを忘れずに。そして人が森に入る時は「お邪魔します」を忘れずに。