「かつて自然豊かといわれた宮前区ですが、里山は急速に失われつつあります。野川ふれあいの森、南野川ふれあいの森をフィールドに、森を守り、森を生かしていくにはどうしたらよいかを考えます。」2004年3月川崎市宮前市民館から、こんな提案があり、『野川・南野川ふれあいの森を体験しよう』というイベント(生涯学習交流集会)が行われました。区内各地から43名が集まり、実際に森とその周辺を歩き、考えました。後日、森で感じたことやこれからどうしていきたいか、などを発表しあったところ、森が荒れてきている、利用しやすいようにしたいなどの意見が出され、近隣の市民自らの力で行えることはやっていこうと、有志数名でグループを立ち上げました。
「野川はあも」という可愛い響きの名前は、「野川の・もりで・あそび・はぐくむ」と「森と人とのハーモニー(調和)、町と森とのハーモニー(調和)」を意味しています。
野川にある緑を知る・学ぶ・遊ぶ・育てる・守る
はあもの「やま仕事」の中で、一番大変だけど達成感も一番で、作業の頻度も一番多い。林の木々の下に生える草やササ、低木などをまとめて下草と言います。これをほおっておくと、たちまち人が立ち入れないような藪になってしまいます。そこで毎年初夏から秋まで(年によっては冬も)活動日にはほぼ毎回行います。これにより、明るい林に保たれ、多種の野草が増え、生物多様性が高まります。エリアにより、ササのみを刈るなど、植生を考えた手入れをするようにしています。
落ち枝の多さにはびっくり。倒木を丸太にするのは、なかなかの力作業。
・木は生き物なので、常に新陳代謝をして、必要のない枝は自ら落とします。小枝から大枝まで、多くの枝が落ちます。冬の落ち葉かきの前作業として落ち枝拾いは必ず行います。
・倒木は、大風の吹いた後だけでなく、年中起こります。倒木が道をふさいだり、他の木に引っかかっていたりする時は、その場から移動します。そのために、運びやすい丸太に切ります。丸太は、道の柵や看板の杭に利用したり、時にはシーソーや椅子になったり…。森の外へは運び出しません。枯れた木や倒木は、生き物が住処や産卵場所として使い、やがて分解され土になる大切な資源です。
コナラとクヌギのどんぐりがたくさん落ちます。子どもたちも大好き。
◆10月ごろは、森にいると、ポトンとどんぐりの落ちる音がよく聞こえます。どんぐりを集め、森の日当たりの良い場所や鉢に植え、苗木に育てます。自然に発芽するものもたくさんありますが、他の木の下など日陰でうまく育たないまま枯れてしまうものが多数です。
◆ その他、コマやブローチを作ったり、リース材料にしたり、森での遊びに使います。
毎冬大量の落ち葉!意外とハードで体もぽかぽか。子どもが一番好きな作業かも。
・落葉樹の多い南野川ふれあいの森は、年末から1月にかけて、大量
落ち葉が降り注ぎます。かつて農家では、落ち葉を集め、たい肥を作りましたが、野川はあもの落ち葉かきは、植物の芽を出させるため、そして落ち葉プールのため?に1から2月に行います。落ち葉が積もると、地面に光が十分当たらず発芽できない植物も多くなります。そこで熊手を使って集め、ブルーシートで運びます。運んだ先では、子どもたちは落ち葉にダイビング!大人も子どもも笑顔がいっぱいの作業です。
苗木の植え付け:大きくなあれ。森を育てていくための大切な作業。
◆2月ごろ、どんぐりから2年ほどたって、成長した苗木を森の中へ植え付けます。既存樹の密度や植える場所の日照などを考え、丁寧に植え付けします。林の更新は、萌芽更新(切り株から出た芽が成長し、木を若返らせる方法)が、もっとも一般的ですが、高齢木が多い南野川ふれあいの森では、今までなかなかうまくいっていません。そこで、森のどんぐりから育てた苗木を森で育てていくやり方で、林の若返りを目指しています。
◆落葉樹主体の森ですが、鳥が運んできたと思われるシュロ、アオキは、生長が早く、短期間で大きくなります。常緑樹のために暗くなり、下草の種類も制限されてしまいます。そこで、エリアごとに常緑樹を残すところ、切るところを決めて、主に春と秋に行います。
◆竹は、森の東側に竹林がある影響で、野川はあもが活動を始めて数年は、もっぱら竹を切る作業が必要でした。それほどに森の中に竹が入り込んでいました。今は、当時の作業のかいあって、たくさんの竹を切る必要はなくなりましたが、年に数本は竹の伐採を行っています。
遠い将来も、子どもとお散歩がてら行ける日常の森として、この場所にこの「森」があり続ける…そのために野川はあもは活動を継続していきます。
森には命の循環があります。それを体感できる場所として、この場所を多くの人と共に大切に守り育てていきたい。
森に入るとすっと空気が変わります。こんなに近くに森があることを皆さんに知ってもらえたら嬉しいです。
お休みの日に遠出して行く森もいいけれど、普段生活している所から、子どもと歩いて行ける森があるって、ちょっと豊かな気分になりませんか。
町では、珍しくなってしまった植物や鳥や虫に出会える森を、自分たちの手で守り育てていくことができるというのも、幸せなことだと思います。一緒にはあもしませんか。
有馬生まれの有馬育ち。造園業を営む実家で木に囲まれて育つ。東京農業大学造園学科を卒業後、目黒
毎月発行するはあも通信では森での発見や出来事が満載です。
2004年度(平成16年度)累計参加者193人
2005年度(平成17年度)累計参加者94人
初めての「夜の観察会」開催
2006年度(平成18年度)累計参加者243人
2007年度(平成19年度)累計参加者259人
2008年度(平成20年度)累計参加者218人
2009年度(平成21年度)累計参加者313人
2010年度(平成22年度)累計参加者316人
2011年度(平成23年度)累計参加者276人
2012年度(平成24年度)累計参加者304人
2013年度(平成25年度)累計参加者287人
2014年度(平成26年度)累計参加者239人
2015年度(平成27年度)累計参加者240人
2016年度(平成28年度)累計参加者 185人
2017年度(平成29年度)累計参加者 220人
2018年度(平成30年度)累計参加者 167人
2019年度(令和元年度) 累計参加者 167人
2020年度(令和2年度) 累計参加者 152人
2021年度(令和3年度) 累計参加者155人